冷たい水の中にありながら覚える渇きのやるせなさよ。

 溺れるほどにあふれる清水は一滴も喉の奥に流れこむことなく。

 あてどなくのばした指先に触れるものは何もなく。

 たまさかに過ぎ行くぬくもりがもたらす甘露で喉をしめすほかは、

 ほの暗く冷たい水底でただ闇雲にもがきかつえるのみ。